令和7年度 名古屋大学工学部 編入 合格体験記

 

はじめに

 こちらは,名古屋大学工学部 機械・航空宇宙工学科編入合格体験記です。

 最初は「編入体験談-ZENPEN」の方に投稿しようと思ったのですが,「後々名大の単位認定についても書きたいな」と思ったので,はてなブログの方に投稿します。

 

自己紹介


出身校:明石高専 機械工学科 "既卒"
X(Twitter:@machine_chu
 鍵垢ですが,高専生っぽかったら通します。質問等はコメ欄かこちらまで。

・特徴
 宇宙工学に興味があります。
 ロングスリーパーで本当は毎日9時間ぐらい寝たいのですが,学校に行ったり仕事に行ったりしてるとそうもいかないので,平日の睡眠時間を7時間に抑えてその分土日を10時間以上寝ることでなんとか凌いでます。
 あと,床で勉強する派です。

・席次
1〜2年:30位代,3〜4年:20位代,5年:10位代
1クラスの人数は40人ちょいです。1,2年の時は底辺です。

・得意科目:物理,材力
・苦手科目:化学,その他暗記科目

・資格等
TOEIC 785点(L:445,R:340)(23年10月受験)
TOEIC IP 820点(23年9月受験))

・部活動
宇宙工学研究部,柔道部

・併願校

いやー岡大が不合格だった時は流石に焦りましたね💦

・経歴
 高専卒業後一般企業に就職し,その後一年ほどで退職して編入試験を受けました。

 現役の時も最初は編入志望でしたが,都立大に不合格で浪人する気力も無かったので就職しました。一社目で内定をいただいたので,確か5年の9月ごろには進路が決まっていたと思います。

 ですので時系列的にはこんな感じです↓↓↓

2023年3月 高専卒業,同年4月 入社
2024年2月末 退社,同年夏 編入試験受験
2025年4月 名古屋大学入学(予定)

 まぁ,実質二浪ですね。

 名大志望の現役高専生だけでなく,高専卒で就職して『なんかモヤモヤするなぁ』『やっぱり編入したかったなぁ』みたいに思ってる方も読んでいっていただけると嬉しいです。

 

記事を読む際の注意点


 私が編入試験を受けたのが2024年なので,これから受験予定の高専生の方は,
23年→高専4年
24年→高専5年
に置き換えて自身の勉強の進捗と比較してみてください。
 見にくくてごめんね🙏

 

使用した参考書や勉強法


勉強のスケジュール等について


 英語の勉強を23年5月ごろから,他の教科の勉強を23年8月末ごろから始めました。
 24年2月末に退社しましたが,勉強時間は退職前後でほとんど変わらず3h/1日ぐらいです。
 正直かなーり少ない方だと思いますが,2年前に一度編入試験に向けた勉強を経験していたので,この勉強量で何とかなったんだと思います。
 集中力は無い方なので,1日に5時間以上受験勉強をすると,頭に入らなくなります。

 自分がやりたい勉強だと何時間でもできるんだけどね😓
 興味が無いことの勉強ってしんどいよね😓


スタプラのスクショ↓

図1 2023年8月~2024年1月までの月ごとの勉強時間

図2 2023年2月~7月までの月ごとの勉強時間

 総勉強時間は,英語を除くと792時間でした。

 いやーほんと改めて見るとありえんぐらい少ないな...
 よくこれで受かったよマジで,勉強は量より質だとは思ってるけども...

 なお,退社して編入試験を意識し始めたのが9月ごろだったので,最初の方にやった英語の勉強はあんまり記録を付けれていません。

 それでは,教科ごとに主に使用した参考書を紹介していきます。

 

数学


 2年前に熱心に取り組んでいたので,微積と行列,行列式については思い出すところからスタートとなりました。
 ベクトル空間,ベクトル解析,確率そして行列の範囲以外の線形代数については,ほとんどゼロからのスタートです。

 

使用した参考書


編入数学徹底研究


おすすめ度★★★★☆

 定番ですね。一部の章末問題は結局,解答を見ずに解けるようにはならないままでしたが,大半の問題は解ける状態にしました。

 

編入数学過去問特訓


おすすめ度★★★★☆

 こちらも定番ですね。A,B問題は基本解けるようにしておいたほうが良いと思います。C問題も解けるようにしておいた方がもちろん安心ですが,名大そんなに難しい問題でるかなぁ。。。
 私の場合は,微分方程式と確率だけC問題を解きました。

 

・意味がわかる線形代数

おすすめ度★★★★★

 非常におすすめです。中身は問題集ではなくほとんど読み物ですが,これを読むのと読まないのとでは線形代数の解像度が違ってきます。
 線型空間の定義に始まり,写像やKerにIm,ひいては対角化に至るまで,とても広い範囲がこの一冊でカバーできます。
 「編入試験のためにとりあえず固有値固有ベクトルは出せるようにしたけど,結局これって何になるの?」って思ってるそこのあなた,これを読めば分かります。
 「Ker? Im? 基底? なんか昔やったけどいまいち覚えてないなぁ。。。」って思ってるそこのあなた,これを読めばバッチリです。

 

・細野真宏の確率が本当によくわかる本

おすすめ度★★★★☆

 中学校以来確率に触れていなかった私のような人でも,この本からスタートして大丈夫です。
 ただ,総合演習が結構難しかったので,この本で基礎が理解できたらPASSLABOさんの動画見るのもありかも。
 紙質のせいか見た目に反してめちゃめちゃ軽いです。

 

・その他

 YouTubeでPASSLABOさんの確率の全パターンを視聴しました。

youtu.beおすすめ度★★★★★

 

 

 数学は,最初にとりあえず徹底研究を一周しました。その際,線形代数の範囲に入る前に一度意味がわかる線形代数を読みました。その後は過去問特訓やったり過去問解いたりって感じですね。
 また,確率は苦手だったので,24年の4月ごろに2,3日集中的に勉強しました。その後忘れないように,週一ぐらいのペースで過去問や徹底研究,過去問特訓の問題を少しずつ解きました。
 その他,受験2,3週間前ぐらいに,念のためジョルダン標準形と,フーリエをネット等で調べながら勉強しました。(フーリエは,昔は名大で頻出だったらしいです。)

 

物理


 力学は高専で5年間を通してしっかり学習していたので,2年前の内容を多少覚えていましたが,電磁気学はすっかり抜けていました。電磁気学はほとんどゼロからのスタートです。

 

使用した参考書


・弱点克服 大学生の初等力学


おすすめ度★★★☆☆

 誤植が多過ぎる!!今は改訂版が出てマシになってるのかな?(リンクは改訂版です。)

 

・弱点克服 大学生の電磁気学


おすすめ度★★★☆☆

 誤植が多過ぎる!!(2回目)しかも改訂版が出てない!!今メルカリで見ましたが高いですねー

 この二冊の参考書のおすすめ度を星3にしたのは,誤植があり得ないぐらい多いからで,内容的にはどちらも星5です。正誤表とにらめっこする勇気がある人だけ買ってください。
 基本的にはどちらの参考書も,一周目に苦手だなと思った問題に印をつけておいて二周目は印をつけた問題だけ解きました。

 

・その他

 電通大YouTubeで公開している,基礎電磁気学の講義を視聴しました。

youtube.comおすすめ度★★★★★

 基礎電磁気学の全てが詰まってます。みなさんぜひ1.75倍速で視聴してください。何かしら電磁気学の参考書に手をつける前に見てもいいんじゃないかな。
 ってかぶっちゃけメルカリで高額転売されている大学生の電磁気学を買うぐらいなら,この講義見て他の参考書(黄色いやつとか)やったほうがいい気がします。

 


 力学は大学生の初等力学をやった後に,過去問を解きまくりました。
 特に阪大基礎工の力学は,難易度高めの剛体が多くてとても勉強になりました。

 次に電磁気学ですが,体感,マクスウェルの4つの方程式を理解していれば結構な種類の問題が解けます。
 私は,電通大の講義でとりあえずマクスウェルの方程式+覚えたほうが楽な公式を覚え,その後大学生の電磁気学で,電通大の講義では触られなかった公式を勉強しました。

 

化学


 完全にゼロからのスタートです。
 おそらく,多くの高専生を編入試験で困らせるのが化学じゃないでしょうか。私も例に漏れずその一人でした。
 元々,化学には苦手意識があったので,効率よく勉強したいと思い最初に過去問を分析しました。

 

使用した参考書


・鎌田の理論化学


おすすめ度★★★★☆

 化学は高校範囲すらゼロからのスタートだったので,最初にこの参考書で基本的なことを勉強しました。

 

・鎌田の有機化学


おすすめ度★★★☆☆

 一通り読みました。有機は無機と違って,反応の仕方が理解できれば大分覚える量を少なくできます。私はこちらの参考書ではなく,後述する受験メモ山本さんの有機の動画をメインで使って,A4何枚かにまとめながら勉強しました。
 そのため,あまり使っていません。

 

・福間の無機化学


おすすめ度★★★★☆

 無機は鬼の暗記です。この本と化学一問一答で,高校範囲の無機化学を勉強しました。
 といっても名大はそもそも無機の出題頻度が高くなく,また,出題されたとしても基本的な問題が多いです。そのため,名大に関しては,無機を一言一句完璧に暗記する暇があるなら,着実に有機や物理化学の問題の理解度を上げて行ったほうがいいと思います。
 実際私が受けた年は,無機の出題はありませんでした。

 

・アトキンス物理化学要論

おすすめ度★★★★☆

 この本では大学範囲の物理化学を少し勉強しました。名大を受験するならエントロピー変化やギブスエネルギーについては勉強しておきたいです。

 

・化学基礎問題精講

おすすめ度★★★☆☆

 問題数をこなす用です。

 

・化学一問一答


おすすめ度★★★☆☆

 無機の暗記用です。

 

・その他

 受験メモ山本さんの化学の動画を参考書で分からなかったところのみ視聴しました。確か,有機とかは全部視聴したと思います。電気化学と熱化学もちょっと見たかな。
 あと,ヨビノリで混成軌道について勉強しました。

youtube.com

youtu.be

化学結合論の方は計6本あります。一応全部見ました。

どちらもおすすめ度★★★★★

 


 名大の化学は,数年に一度鬼のように難しい問題が出ます。(クラジウス・クラペイロンとか,急に熱力の範囲から出たりとか)。
 その上,それらの鬼のように難しい問題には,傾向もクソもありません。どの範囲から出るか完全にランダムです。
 そんな問題,よっぽどの化学オタクでも無い限り,機械科出身の人間が解けるわけないと(私が勝手に)思っています。その問題のために勉強する化学の範囲を広げるぐらいなら,頻出の有機とかを完璧にした方がいいと(私が勝手に)思っています。
 皆さん,重要なのは傾向と対策です。

 

英語(TOEIC


 長くなりそうなので割愛します。
 需要があれば別で記事にしようと思っています。

 一応軽く書いておきます。


 私が高専生時代最後に受けたTOEICのスコアが495点でした。その後,23年5月まで一切英語の勉強をする事なく,GW明けぐらいから勉強をスタートしました。その結果,23年9月末にIPテストで820点を取得することができたので,約5ヶ月で300点程スコアを上げたことになります。
 ですが,私は英語の勉強をしたかったので,TOEICの勉強はほとんどしませんでした。
 会社でTOEIC IPを受験した23年9月までほとんどTOEICの勉強はせず,TOEFLの教材やTEDで勉強していました。会社で受験したTOEIC IPのスコアが思いの外良かったので編入を意識し始め,公開テスト直前に少しだけTOEICの勉強をしました。


 勉強法が気になったら,ぜひ別記事を書いた時に見に来てください。暇な時に書きます。

 

少しアドバイス


 受験は定期テストと違って範囲が広いので,新しい事を次々に勉強していく必要があります。
 すると,
『力学一周やって,その次に電磁気も一周やったけど,電磁気が終わる頃には力学の内容ほとんど覚えてない!!』
みたいになっちゃうことがよくあります。

 私はそうならないために,

  • 1日でできるだけ色んな教科,単元に触れる事
  • 忘れてしまわないように,一度完璧にした単元を一定のペースで復習する事
  • 過去問にはあらゆる範囲の問題が含まれているので,自分が受ける大学以外の過去問も有効活用する事
  • 過去問を解いて,今自分がどのくらいのレベルなのか逐一確認する事

を心掛けました。

 そのためにも,いろんな大学の過去問をもったいぶらずに解きまくってました。
 ぶっちゃけ2ヶ月もすれば,どんな問題だったかなんてほとんど忘れてます。

 

 

名古屋大学編入試験の傾向

 

数学


 今までは積分微分方程式,確率,線形代数が主な出題範囲でしたが,近年は傾向が変わってきており,ここ数年ベクトルの問題をよく出題しています。
 また,2016年ごろまではフーリエが頻出でした。

 

物理

 


力学


 幅広い範囲が出題されます。なお,万有引力の問題は自分が持っている過去問では出題されていませんでした。

 

電磁気学


 こちらも幅広い範囲が出題されます。その中で交流の問題は,自分が持っている過去問では出題されていませんでした。

 

化学

 無機化学有機化学・理論化学・物理化学から出題されます。また,数年に一度,鬼のように難しい問題が出題されます。私は正直そういう問題は捨ててました。

 

無機化学


 高校範囲から多く出題されますが,そもそもの出題頻度が高くありません。2,3年に一度,非常に基本的な問題が出題されていました。

 

有機化学


 高校範囲と大学範囲から出題されます。構造決定の問題が多かったように思います。合成高分子までやっておくと安心でしょう。年々,有機の配分が増えている印象です。私は有機が一番得意だったので,最近の傾向は非常にありがたかったです。

 

理論化学


 高校範囲と大学範囲から出題されます。π結合やσ結合,軌道についてはよく出ている印象です。

 

物理化学


 主に大学範囲から出題されます。エントロピー変化やギブスエネルギーについては頻出ですね。私は大学範囲の学習に非常に時間がかかりました。

 

令和7年度の試験問題


 試験から1ヶ月近く経っているので若干うろ覚えな部分もあります。
 ご自身で試験問題を入手して,是非一度解いて比べてみてください。

 なお,試験時間は数学は2時間,物理と化学は1時間です。特に,物理の時間配分には注意してください。

 

数学


1.ベクトル解析
2.ベクトル空間
3.行列(A=B^2となるBを求めたりとか)
4.確率

 数学は大問一の最後の問題以外,たぶん全部合ってます。
 その合ってるか分からない大問一の最後の問題についても,合ってそうな答えが出ました。過去問見返してみると,似たような線積分の問題がありました。これ別に普通に解けてたな...
 まぁ仮に間違ってても部分点はあるでしょう。
 その他,特筆すべきことは何もありません。
 大問二と大問三は,もしかしたら逆だったかもしれません。

 予想は9割〜10割です。

 

物理


・力学

1.並列バネ,直列バネ,減衰振動

電磁気学

2.電場と電位,電荷を求める問題
3.覚えてないけど完答

 力学はおそらく完答です。
 直列バネのバネ係数がどうなるかを試験中に思い出せたのでよかったです。それさえ覚えていれば減衰振動の条件とかを出すだけだったので,結構簡単です。

 電磁気は大問二の3,4番が分かりませんでした。
 不明な電荷電荷密度を導出する問題でしたが,なんか方程式が足りなかったので出せませんでした。今思えば,ポアソンの方程式から出せそうな気もします。部分点に期待。
 大問三はごめんなさい,覚えていません。悩んだ記憶はないので,完答だと思います。

 予想は 8割5分〜9割です。

 

化学


1.(ほとんど)化学基礎(語句)
2.金属結晶
3.有機化学(クメン法,フマル酸とマレイン酸,樹脂)
4.水の状態図 (語句)

 大問四以外おそらく完答です。
 大問一は非常に基本的な問題でした。一応軌道について問われましたが,全体的に難しくありません。
 大問二は充填率とかが問われました。まぁ機械科なら楽勝ですね。
 大問三は有機を合成高分子までしっかりやってれば,迷うような問題ではなかったと思います。
 大問四は水の状態図についての語句問題でした。全然覚えてなかったので,3年以上前にやった内容を思い出しながら解きました。多分3問ぐらいしか合ってません。

 予想は8割〜8割5分です。

 

面接

  • 志望理由
  • 高専時代力を入れていたこと(志望理由で宇宙研について話したため)
  • 仕事を辞めて受ける理由(まぁこれ聞かれるのは自分ぐらいでしょう)
  • 卒業後の進路について
  • 併願校

 10分ぐらいで終わりました。雰囲気も和やかで良かったです。口頭試問は特にありませんでした。

 

試験の総評


 TOEICこそ990点満点換算で8割をギリギリ下回るものの,本番の三科目はどれも確実に8割以上取れてると断言できます。直列バネのバネ係数を試験時間1時間以内に思い出せたり,化学の出題範囲が自信のある単元からばかりだったりと,正直運も味方してくれたと思います。
 個人的には,TOEICはもう少し点があった方が安心ですね。名大志望で800点越えなんてザラにいると思うので,800点未満でそういった方達に差をつけるためには本番どのくらい取れてたら良いか,ぜひ目安にしてください。

 

最後に


 私は高専時代,編入試験終了後に就職を決断しました。そして今回,退職して二度目の編入試験を経験することになりました。
 今この記事を読んでいる方で,就職後に「やっぱり勉強して大学に編入したかったなぁ」と思っている方や,高専卒であるが故に将来的なキャリア形成に不安を感じている方も少なからずいると思います。
 この記事は決して,私のように退職して編入試験を受けることを推奨しているわけではありません。こういう選択をした人間もここにいるということをただ知って欲しかったので,このようにブログを書き始めることにしました。
 次の記事では退職して編入する際の注意点を記事にする予定です。
 今悩んでいる方は,あくまで一例として読んでいただけると嬉しいです。